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2010年05月15日

「貧乏なのであります」by BAKU

今日、ご紹介するのはこの本。

「貧乏なのであります」by BAKU

「山之口貘詩文集」山之口貘

ウチナーンチュとしては、もっと早くご紹介して然るべき人物、「山之口貘」大先生の詩文集でございます。

大先生といっても、ここまで親しみやすい大先生も稀ではないでしょうか?
日本を代表する詩人にして、沖縄文学界の巨匠、King of 貧乏、「山之口貘」大先生でございます。


          お金ばかりを借りて

          歩き廻っているうちに

          ぼくはある日 死んでしまったのだ

               (告別式の一節)


今の僕には、また違った意味で身につまされる詩ですが、案外そのままの読み方で良いのかもしれません。


          だだ だだ と叫んでいるが

          何時になったら「戦争」が言えるのか

          不便な体 吃る思想

          まるで砂漠に居るやうだ

               (紙の上の一節)



日本を代表する偉大な詩人であっても、「戦」を前にしては、ただ「だだ だだ」と、赤子のように叫ぶしかない。
僕はこの詩に出会って、とても強いショックを感じました。

筆を手に、原稿用紙の砂漠の上で、ただ、ひたすらに「叫ぶ」一人の天才。

数年前、貘の生誕百年を記念して、それまで数多くの山之口作品を取り上げていた、今は亡き「高田渡」さんを中心にして、「貘・詩人山之口貘をうたう」というCDが発売されました。

沖縄人としては「恥ずかしながら」といった感じなんですが、僕が「山之口貘」に出会えたのは、このCDのおかげです。

高田渡大工哲弘佐渡山豊大島保克ふちがみとふなと石垣勝治嘉手苅林次つれこれ社中 ……

貘の言葉を、貘の想いを、素晴らしいアーティスト達が、素晴らしい音楽で表現しています。

このCDを発売している「オフ・ノート」というレーベルには、他にも「隠れた名盤」が数多くありますので、そちらも機会があったら、ぜひ聴いてみて下さい。
ちょっと音は悪いですが、こんな映像を見つけましたので、さわりだけでもどうぞ。




貘の詩は優しい。
とても清らかだ。
どこまでも謙虚で、偉ぶったところがない。
元々、一緒くたなものを無理に選別したりしない。

崇高なものも、そうでないものも、そのままの形でその可笑しみを見ている。
そしてそれを、ただ悲しんだり、喜んだりするのだ。



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